Chapter 4 なにもしらない

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ルカは少ない荷物を車に運んだ。 その様子を玄関から、大家さんとふたりでみていた。 「……彼女さんかい?」 「あ、、いえ」 「一緒に住むんだろう?大事にしてあげてやっておくれよ。可哀想な子だからさ。頼んだよ」 (可哀想な子……?ルカが…?) ましゅー終わったよー!とルカが笑顔でこっちに手を振っている。とても可哀想な子だなんて思えない。 「……はい」 ねぇ、ルカ。あなたってなにもの? ------------------ 車の中では、沈黙が続いた。 私はなるべく目を合わせないように助手席から窓の外を眺めるようにしていた。 「…ねぇ怒ってる?」 ルカが私の機嫌を確かめるように恐る恐る聞いた。 「怒ってないよ」 「怒ってるじゃん」 「本当に怒ってないってば」 ( 怒ってない、ぜんぜん。  でも、"もっとほしい"と思ってしまったことが恥ずかしくてたまらない。あのまま大家さんが来てなかったら流されてた、絶対に)
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