第二章「同じクラスの人気者」

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次の日、私にとって正にケガの巧妙とも言えることが起こりました。 なんと旭君が、私のカバンを学校まで持ってくれるというのです。しかも、帰りも。これ以上嬉しいことってありますか?ないです! でも、喜んでばっかりもいられない気持ちもやっぱりあって。 「旭君、私ホントに大丈夫だよ?」 旭君は今まで、学校の中で私と必要以上に関わろうとはしなかった。というよりも、多分一回も話しかけられたことはない。 私は二組で旭君は三組。見かけない日は、ホントに見かけない。だからお手洗いに行く途中なんかにこっそり首を伸ばして、旭君の姿をひと目見ようとがんばったりしてる。 ハッキリ聞いたことはないけど、なんとなく旭君は私と幼馴染みだってこと知られたくないのかなって。私からも話しかけないようにはしてるけど、正直寂しい気持ちもある。 「いいって言ってんだろ。しつこい」 私のカバンを持ち、いつもより優しめのスタスタ歩きで私の前を歩く旭君。 「でも…」 「何、俺にカバン持たれんのそんなに嫌なわけ」 この顔は…旭君の不機嫌モード突入だ。 「そんなわけないじゃん!そうじゃなくて旭君が…」 「俺が何」 「私と一緒に登下校してるって知られるの、嫌かなって…」 思わず、顔がシュンと下を向いてしまう。 「何言ってんの?お前」 あれ?声が不機嫌じゃない。 「だって旭君、朝いつも学校に着く前に先に行っちゃうから…」 「あー、それは…」 「それは?」 「いや何でもねぇよ。ていうか、今更過ぎんだろ」 旭君は呆れ顔で溜息をついた。 「そこら辺に普通に生徒歩いてるとこまで一緒に行ってんだから、同じことだっつの」 「え、そうなの?」 正直貴重な時間だから旭君しか見てなかったけど、そう言われるとたまにクラスの子達から聞かれたりするし、この前みたいに菫ちゃんや風夏ちゃんに会うことだってあるし。 「だからいんだよ。ごちゃごちゃ言わずに持たれとけ」 「うん!ありがとうっ」 顔いっぱいに嬉しさが広がって、少しでもそれを伝えたくて旭君の目を見つめた。 旭君は一瞬目を丸くして、すぐにフイッと逸らしてしまった。
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