第一章「大好きなお隣さん」

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「ひまりは、ずーっと好きなの?石原君のこと」 「う、うん…」 二人には私の好きな人が旭君だってことは伝えてある…というより私が旭君に対する態度を見てればすぐ分かるって私が言うより先にバレちゃったんだけど。 もっと言えば、菫ちゃんには中学で仲良くなった三日後には「石原のこと好きでしょ」って言われちゃったし。 高校ではあんまり態度に出さないように、これでも気を付けてるつもりです。 「で?いつ告白するの?好きだって」 「こ!?」 風夏ちゃんの言葉に、思わず前につんのめりそうになる。そんな私の肩を、菫ちゃんがさりげなく支えてくれた。 「いつも言ってるのにー。早く言いなよって」 「い、言えないよっていつも言ってるよ私!」 「ひまり激かわなんだからさぁ、オッケーもらえるに決まってんのに。ねぇ?菫」 「そんな単純な話じゃないんだよ多分。家がお隣さんなんだし、他のことも色々考えちゃうんだよひまは」 今までも、色んな友達から言われてきた。 そんなに好きなら、何で告白しないの?って。 その度に笑って「できないよ」って。 だって、私は怖いから。 旭君がたまに見せてくれるキラキラの笑顔。 あの笑顔を近くで見られなくなるかもしれない。 そう思ったらどうしても、勇気が出せないまま。 四歳の時に出会ってから。 もういつから旭君のことが好きなのか思い出せないくらい、ずーっと好きなのに。 「でもさぁひまり、石原君この前告白されたらしいよ。私も昨日聞いたんだけどさ」 風夏ちゃんが、コソコソッと私達に顔を寄せる。 「え!そ、そうなの?」 「石原君と同じクラスの三条(サンジョウ)さんだって」 「そういうの、誰が言いふらすのかなぁ。嫌な感じ」 菫ちゃんが、キュッと眉根を寄せた。 「私は二人以外誰にも言ってないって!私に教えた子にも、あんまり言わない方がいいって言っといたし」 「まぁこういう系の噂って広まっちゃうよね。どうしても」 「石原君は断ったみたいだけどね。三条さんっていえば、三組の中で一番可愛いって言われてるのにね」 頭の中で三条さんの顔を思い浮かべる。本人と話したことはないけど、確か髪が長くてふわふわで今時の女の子って感じの印象だった気がする。 「石原君、かっこいいもんね。中学でもモテてたんじゃない?」 「旭君のこと好きな子は結構いたと思う」 「でも石原が誰かと付き合ったことってないよね?確か」 菫ちゃんの言葉に、私は頷きながら「多分」と返した。 「旭君が告白されたっていうのは、今までも何回か聞いたことはあるよ。もちろん、本人からじゃないけど」 「それ焦ったりしないの!?取られたらどうしようとかさ」 「確かに、ちょっと嫌だなぁって思ったりはするけど…でも羨ましいとか、凄いなって気持ちの方が強いかな」 「凄い?」 風夏ちゃんは、分からないと言うように首を傾げた。
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