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笑顔を作りたいのに、どうしても声が震える。旭君は私と目線を合わせる為に、ベッドの側で膝立ちになった。
「旭君の素直じゃないところも、恥ずかしがり屋なところも、私を守ってくれようとするところも、全部全部大好きだよ」
「ひまり」
「旭君、いつもありがとう」
そう口にした瞬間、旭君が私を抱き締めた。その手は壊れ物に触れるみたいに、優しくて。
凄く嬉しいのに、目尻から一筋涙が零れた。
「ひまり」
「うん」
「ひまり」
「旭君」
「大好き」
「私も」
「こうしたかった、ずっと」
旭君の声色が優しくて、でも震えてるようにも聞こえて。私も彼をギュッと抱き締め返す。
「バカ、無理すんな」
「やだ、私もこうしたいの」
「意地っ張り」
「どっちが」
二人で顔を見合わせて、笑い合う。ずっと一緒に居たのに、また今日旭君の初めての部分に触れた気がする。
「最近旭君がすぐ逃げちゃうから、傷付いてたんだからね?」
「それは、アイツらとのことちゃんとするまではって…」
「そんなの、私には意味分かんないもん」
「悪かったって」
「じゃあ、これからいっぱい触ってくれる?」
「え」
「あ…」
勢いでポロッと出た言葉は、回収したくてももう遅い。真っ赤になってるだろう顔を隠しながら、笑って誤魔化す。
「じ、冗談冗談!アハハ」
「…」
「旭君?」
「…止めろ、バカ」
旭君は怒ったように眉間にシワを寄せてるけど、この顔は間違いなく恥ずかしい時にする顔だ。
私が恥ずかしがった時はもれなく旭君もそうだから、余計に恥ずかしさが増しちゃうんだよなぁ。
「…いいなら」
そっぽ向いたまま、旭君がボソボソと呟く。
「ひまりがいいなら、そうする」
「っ」
「やなら、しない」
「い、嫌ってわけじゃないけど」
「じゃあいい?」
「う、うん…」
ギュッと目を瞑ると、旭君が動く気配がして。思わず体をガチッと固まらせると、チュッという軽い音と共に旭君が私の右の頬っぺたにキスをした。
金魚みたいに口をパクパクすることしかできない私に、旭君は照れた表情のまま嬉しそうに口元をゆるめて。
そんな彼の表情に、私の体温は更に上昇したのでした。
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