第十四章「きっと伝わる」

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それからも三人で歩きながら話をしてて、 「クシュンッ」 私は小さなクシャミを一つした。 「あ、ひまりが噂されてる」 風夏ちゃんがニヤニヤしながら私を見る。 「クシャミ一回ってなんだっけ。悪口?」 「いや褒められてるんじゃなかったっけ?」 「やったじゃんひまり」 「フフッ、何それ風夏ちゃん」 「だってひまり、少なくともヒーローみたいな扱いだよ!体張って彼氏を守ったってさ!」 興奮気味な風夏ちゃんと、少し苦い顔の菫ちゃん。 「それ微妙だよね。風夏が大分否定して回ったとはいえ、遊ばれてるのに健気ーみたいに言ってる子もまだいるし」 「まぁ、そこがちょっと問題だよね…」 「あのね、私ちょっと考えたんだけど…」 その言葉に、二人が一斉に私を見る。 「あの子達と、ちゃんと話をしてみようかなって」 「あの子達?」 「あの二人組」 「え、ひまに嫌なことばっか言ってくるあの?」 コクリと頷くと、菫ちゃんも風夏ちゃんも私を案じるような瞳を見せた。 「それ大丈夫なのひま」 「そうだよ、ひまりが注目されて余計嫉妬してるんじゃないの?あの子ら」 「大体、アイツらが余計な噂流したから余計に油注がれたってのもあるじゃん」 「それか、文句言いにいくって言うなら私らも一緒に行くよ?」 私は否定の意味を込めて、フルフルと首を横に振る。 「あの二人って、旭君と私が付き合ってるのが嫌なわけでしょ?それって旭君のことが好きだからだよね?」 「単にひまへの嫉妬って線もあるけどね」 「どっちにしても、旭君のこと嫌いじゃないと思う。だったら、旭君が酷い人で私が可哀想な人って今の噂は本意じゃないと思うの」 「なるほど」 風夏ちゃんが考え込むような仕草をする。 「だから、その噂を訂正してもらえるように頼んでみようかなって」 「えっ」 「この前は私もつい感情的になっちゃったけど、ちゃんと話せば分かってくれると思う」  「ひま…」 私の強い決意が伝わったのか、二人ともそれ以上私を止めるセリフを口にはしなかった。 「ひまり凄いよ!マジで石原君のこと好きなんだねぇ」 「ひまの愛は年期入ってるからね。誰にも超えられない」 「ち、ちょっと恥ずかしいよ二人ともっ」 「ふわふわしてるように見えてやりますなぁ」 「やりますなぁ」 「も、もうっ」 赤くなってる顔をカバンで隠すようにすると、二人とも盛大に笑った。 ーーよし、落ち着け。落ち着こう、私。 お昼休みになって、あの二人と話をしようと旭君の教室の前までやってきた。 チラッと後ろを振り返ると少し離れたところに菫ちゃんと風夏ちゃんがいて、私に向かってガッツポーズをしてくれる。 私の側にいるって言ってくれた二人に、一人で行きたいってお願いした。三人で行くと警戒されてしまうと思ったから。 二人とも嫌な顔一つせずにこうやって見守ってくれて、そのおかげで緊張で少し丸くなってた背筋がシャキンと伸びた。 とはいえ、あんなこと起こした後やっぱりこの教室には入り辛い。どうやっで呼ぼうか悩んでいると、 「わ、大倉さん!」 ちょうど、前橋さんがドアから出てきた。
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