素面な人生

2/13
前へ
/13ページ
次へ
 なぜ、こんなことになったのかと更に過去に戻って考える。最初に飲んだのは17歳のときだ。両親はともに愛情が冷めていたらしく、母親には彼氏、父親には彼女がいた。そのため当然のように私が高校一年生のときには離婚していた。私の母はスナックを経営していてたまに手伝わされた。そこで母の彼氏にブランデーを飲まされた。思い出せばそれが始まりだったように思う。ちょうどその頃、高校の調理実習でプリンを作った。プリンにはブランデーを入れるのでボトルでVSOPが用意されていた。私は調理室の机に隠れてVSOPを半分以上ストレートで飲んだ。面白半分に飲んだのだが私は酩酊した。次の数学の授業は酔っぱらった私が「はい」「はい」と難しい問題も訳が分からず手をあげていた。クラスの皆んながクスクスと笑っていたのを覚えている。  22歳のとき、経理事務をやっていたのだが昼の仕事の他に高級クラブで働き始めた。私は人見知りをする。お客さんとうまく喋れることが出来なくて仕事の時間がとても長く感じた。でも家にはひもの彼氏がいる。22歳で同棲してたのだ。相手は24歳。まだ若い二人のおままごと同棲だ。彼氏は働いてないうえに外車を買ったり、ブランド物の服を買った。別にカッコいい人じゃない。小さなたれ目で鼻の大きな、どちらかというと不細工な方だった。でも、彼の必死な「付き合おうよ」に負けた。それが失敗だったんだ。彼氏はすぐに働かなくなった。だから昼間の仕事だけでは到底食べていけない。私は酔っぱらうとお客さんと話が出来ることに気が付いた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加