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あるところに、なぎさちゃんという女の子がいました。
なぎさちゃんは5さい、幼稚園の年中さんです。
なぎさちゃんのママは、そろそろなぎさちゃんにおつかいをたのんでみようかしら、と思っていました。
というのも、なぎさちゃんの家は、商店街のなかにあり、おつかいはそんなにむずかしくなさそうだったからです。
その日、なぎさちゃんのママはロールキャベツを作ろうとおもっていました。
「なぎさ、やおやさんにいって、キャベツを買ってきてくれない?」
なぎさちゃんのママはいいました。
(キャベツ・・・うすみどりいろで、ボールみたいな形をしているやつよね)
なぎさちゃんは思いました。
「分かった、買ってくる」
なぎさちゃんは、150円と買いものバッグを持って、元気よくでかけました。
(キャベツ、キャベツ、似てるけど、レタスじゃなくて、キャベツ・・・)
心の中でなぎさちゃんはとなえながら、歩きます。
5分くらいでやおやさんにつきました。
「へい、らっしゃい!!なぎさちゃん、おつかいかな?」
やおやのお兄さんは元気に声をかけます。
「はい・・・うんと・・・なんだっけ。」
なぎさちゃんは、キャベツ、ということばをわすれしてしまったようです。
目のまえに、「レタス 135円」というねふだを見つけました。
(うすみどりいろで、ボールみたいな形をしていて・・・うん、これだわ)」
「レタス1こ、ください」
あらら・・・なぎさちゃん、似てるけど、レタスじゃなくてキャベツですよ!
「あいよ」
お兄さんは、レタスとおつりの15円をわたしてくれました。
「ママ、ただいま!レタス、買ってきたよ」
なぎさちゃんは、おつかいができたうれしさで顔を赤くして言いました。
(えっ、レタス?キャベツをたのんだのに・・・まぁ、いいわ)
なぎさちゃんのママは、すべて分かったように笑いました。
「ありがとう。これで、おいしいサラダをつくろうね。なぎさもレタスをちぎるの手伝ってね」
「うんっ」
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「ただいま~」
なぎさちゃんのパパが帰って来ました。
「おかえり~、パパ!」
なぎさちゃんとママが返事をします。
「今日は、ロールキャベツだったよなぁ」
つぶやいたパパに、ママが、しぃ~っ、のしぐさ。
「ロール・・・キャベツ?ハンバーグじゃなくて?」
なぎさちゃんが、ビックリして言いました。
「あっ、そうか・・・ママは、キャベツ、って言ったのに、なぎさがレタスを買ってきちゃったから・・・」
なぎさちゃんは泣きそうになりました。
ママが、やさしく言います。
「あのね、ママが言ったのは、たしかにキャベツだったけど、いちばん大切なのは、なぎさがお店でお買い物できたということよ」
ママがなぎさちゃんをぎゅっと抱きしめます。
「お手伝いしてくれて、ありがと、なぎさ」
「ママ、ありがと。ごめんね」
「おいしそうなハンバーグじゃないか。なぎさがまちがってくれたおかげて、こんなおいしそうなハンバーグ食べられるなんて、パパは幸せだな」
パパが言いました。
「パパ、サラダもほめてよ。なぎさがレタス、ちぎったんだよぉ」
なぎさちゃんがおちゃめに言います。
「うん、おいしそうだ。たべやすそうな大きさだな」
パパがなぎさちゃんを抱っこします。
なぎさちゃんの初めてのおつかいは、ちょっと失敗したけれど、おわりよければすべてよし。
今日の夕食のテーブルは、いつもにまして、おいしく明るく楽しいものになりました。
おしまい
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