あと一秒

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「あー、あー」  僕のノド、よし!  満天の星空、よし!  風は少しだけ吹いてるけど……よし!  ひとつずつ、指差しでたしかめた。  みんな、バッチリ!  あとは、待つだけ──  ──キラッ  来たっ! 「僕は火星のαβζοιςρΝψΘρΘΖκφιθξνΕσανβζβωχνςψφοξκψχπωςΘοφΙΙΟΞΟΝχππνψξΔξΙΗΖξρποφοθκωοχψωΒΘΖρΖξπυξιΘχΕχπΠΞχςΙΗΕιΘΕΕΗχιςχφςξψιςωψΖΔφρωΗΗΕΑΙちゃんとオトモダチになりたい!」 「僕は火星のαβζοιςρΝψΘρΘΖκφιθξνΕσανβζβωχνςψφοξκψχπωςΘοφΙΙΟΞΟΝχππνψξΔξΙΗΖξρποφοθκωοχψωΒΘΖρΖξπυξιΘχΕχπΠΞχςΙΗΕιΘΕΕΗχιςχφςξψιςωψΖΔφρωΗΗΕΑΙちゃんとオトモダチになりたい!」 「僕は火星のαβζοιςρΝψΘρΘΖκφιθξνΕσανβζβωχνςψφοξκψχπωςΘοφΙΙΟΞΟΝχππνψξΔξΙΗΖξρποφοθκωοχψωΒΘΖρΖξπυξιΘχΕχπΠΞχςΙΗΕιΘΕΕΗχιςχφς──うわっ!」  ビョオォオオォオォオオォッッ! 「──ゲッホゲッホゲッホゲッホ……っあー、びっくりした。なんで急に風が……って、ああっ!!」  気がつくと、流れ星はいなくなってた。 「……三回、言えなかった……」  僕は〝キーラーの空隙(くうげき)〟の中でガックリと膝をついた。一応、僕の部屋なんだよ。  宇宙だけど。  野ざらし? だけど。 「もう少しだったのにね、ダフニスちゃん」 「土星(かあさん)。ちゃん付けやめてよ。僕、男なんだから」 「ダフニスちゃんが次は最後まで言えるように、お母さんが、風を防いであげるからね」 「ありがと。……じゃなくて、ぜんぜん聞いてないじゃん!」  ちゃん付けやめてってば! 「あと一秒あれば言えたね。惜しかったー」 「……うぅ……」  そこで急にキズをえぐらないで……ダメージが倍になる気がするから……  同じ幼稚園に通う、火星のαβζοιςρΝψΘρΘΖκφιθξνΕσανβζβωχνςψφοξκψχπωςΘοφΙΙΟΞΟΝχππνψξΔξΙΗΖξρποφοθκωοχψωΒΘΖρΖξπυξιΘχΕχπΠΞχςΙΗΕιΘΕΕΗχιςχφςξψιςωψΖΔφρωΗΗΕΑΙちゃん。  とっても良い子で、オトモダチになりたいんだけど……僕からは話しかけられないんだよね。  彼女の前に立つと、いっつもモジモジしちゃう。  なんでかは、わかんないけど。  天王星のトリンキュローくんは、 「それ、恋じゃない?」  って言ってたけど……  恋って、なに?  モジモジすると恋なの?  よくわかんない。  トリンキュローくんが、 「流れ星にお願いしてみたら?」  って教えてくれたから、早速やってみたけど……三回言えなかったよ。  お願い、叶わないかなぁ…… 「ねぇ、ダフニスちゃん」 「だから、もー」 「トリンキュローくんは、流れ星に願いごとをする勇気があれば、火星の子と話せるようになるかもって、言いたかったんじゃないかな」 「そうなの?」  勇気があれば、話せる? 「だから、三回言えなかったから叶わないんじゃなくて、三回も口にできたんだから、きっと話せるようになるよ。明日すぐにじゃなくても」 「そっか。……うん。じゃあ、話して……みるよ」 「うん。ダフニスちゃん、ファイト!」 「もー」  ありがとうだけど。  もー。  翌日。 「ダフニスくん、おはよう」 「あっ……おは、おは……よ……」  ……今日は、あと一秒ぶん、勇気がたりなかったみたい。
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