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選択肢も退路もない、正解だろうが、間違いだろうが、何も考える必要もなく、一つの決定事項を遂行することは楽。
相手のことが嫌いなわけじゃないし、それなりに信頼もしてる。だから怖くもない。
お金の心配もない。既に贅を尽くした100平米超の物件に住まわせてもらってる。
相手のお父様は同業者。リサーチなんて必要ないほど輝かしい実績の持ち主。保険業界では生きるレジェンドと呼ばれている。
相手は仕事でほとんど不在。警察官にしては目立ちすぎるモデルのような顔立ちと体躯で女性には不自由してないから、モテない私に興味を持つこともないだろう。
何より相手も仕事 第一。つまりは互いに仕事と結婚して、仕事に集中できる環境を整えたって、ただそれだけのことで、申し分ない嫁ぎ先だ。
相手に迷いなし。
私は?
「迷ってないし?」
迷う要素は今のところ見当たらない。
だって嫌いじゃないし…
「よし、帰ってきたら書く」
紙を指差す。覚悟を決めろ!と。
今日の天気は晴れ。占いも上の下、じゃなく中の上の4番目。よし!
「行ってきます」
いつまで経っても見通しも風通りも良い部屋に声が反響する。
家らしくない家。外枠はしっかりしてるけど中身のない家。
でも別になんだっていい。雨風しのげて、週末ゆっくり眠れるのなら究極、掘立て小屋だっていい。
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