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プロローグ
「いつ、来るのかな…」
テレビ台には左からスマホ、腕時計、カギ、そしてリングケース。その中でダイヤモンドは3ヶ月眠ったままだ。
ケースもちょっと埃かぶってるし…
粗末にできないと思ったけど、これはこれでダメな気もする。
仕事に結婚は必要ない。
なら、仕事を続けるのに結婚が必要だと迫られたら?
結婚する。
物事は単純に考えている。
『仕事の合間に取りに来て出しておきます。書類揃えて、あ、あとコレ、誤記入した用に余分に置いときますね。忙しいのは知ってるので、時間ある時に記入して置いといてください』
つらつらと、淀みなく、抜かりもなく、そう指示だけ残して出て行った。
でも具体的な指定がないと後回しになっちゃう薄いペラペラの、一生を約束する契約書。『夫になる人』欄は記入済みだ。
わざわざ目につくテレビ台に置いて行った。文鎮代わりのリングケースとか、頭のキレる人だ、無意味なことはしない。準備万端、時は満ちた、さぁ逃げ場はない!などなど…視覚からビシバシ決断を迫る。
相手に迷いなし。
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