あと五分遅かったら

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「貞夫」  彼の名前をマレーシアに呼ばれた。  日本人なのにマレーシアと呼ばれていた。彼はマレーシア料理を作るのが得意なのだ。  気が付くとマレーシアは目の前を歩いていた。 「どうした?」 「何か、恋の話をしていたようだけど」 「まあそうだけど」 「そうか」 「紹介するよ、このガタイが良いのはうちの大学ではない、ラグビー部の高校の頃の同級生の三浦。こちらは普通の松本」  貞夫はマレーシアに高校生時代の同級生を紹介した。 「こちらマレーシア、同じ大学の同期だ。本名は何だったかな?」 「良いよ、本名は」 「貞夫がお世話になっています」三浦はあいさつした。 「東子に恋したのか?」  マレ-シアはたずねてきた。 「秘密だ」貞夫はそう語った。 「秘密か?」 「うん」 「なら黙っとく」マレーシアはそう言うと貞夫たちから離れて行った。
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