あと五分遅かったら

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 そんなことをして過ごしていた。  彼は恋のことばかり考えている訳ではなかった。ちゃんと大学の勉強のことも考えていた。  他の友達のことも考えていた。高校生時代の友達のことも考えた。大学生としても日々が落ち着いてから、高校生時代の友達に会った。 「バイトだよ。毎日。何しに大学に入ったのか分からないよ」  そう話す友達はいた。 「オレは良いよ。部活に燃えているから」  部活か。同じ大学にはそういう友達はいなかった。  別の大学に通う高校生時代の同級生は話した。 「部活って何部なの?」  別の大学に通う同級生はその同級生にたずねた。 「ラグビー部」  どうりで体がしっかりしていると思った。 「高校生の頃からだったか」  そう返事した彼は、少し意外だと感じた様子だった。 「当たり前だよ」  彼の高校生時代の同級生は答えた。男だけで話していた。 「相変わらず男だけで話しているな」 「ゲイなら当たり前だけどな。違うからな。オレたちは」  彼の友人は話した。三人で笑った。
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