あと五分遅かったら

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「部活も良いけど、けがには気をつけろよ」 「ありがとう」 「オレも恋し始めたけど気を付ける」 「何、恋か?」ラグビー部員は少し驚いたようすだった。 「恋したんだ」 「お前が恋なんてえらいことだな」もう一人の同級生は話した。 「高校生時代に彼女なんていたか?」ラグビー部員は笑顔で話した。 「実は一人もいなかった」 「彼女は一人なのは当たり前だよ」バイトで忙しい友達は話した。 「そうか」彼は一人で恋した女のことを思い出した。 「恋しているのはオレだけなんだ。向こうは恋していない」 「片思いか?」ラグビー部員はたずねた。 「片思いだ」彼は答えた。 「良いじゃん、片思い」その友達はバイトの時間が気になるのか、腕時計を気にし始めたようすだった。 「大学の同期の女だ」彼は答えた。 「どんなの?」友達のバイトまでは、まだ余裕がありそうだ。 「普通の女だよ」彼は答えた。 「何だ、すごい良い人かと思った」ラグビー部員は笑った。 「良いと言えば良いけどな」彼は照れていた。変な照れ方だという自覚は彼自身にはあった。彼は彼女と恋人同士ではなかった。
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