曇天の虹

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「あと5分、こうしていられるね」 私と彼の帰宅するバスは時間差で到着する。 彼の乗るバスは17分で、私の乗るバスは22分だ。 その間、いつも手を繋いだまま、おしゃべりをして待っていた。 決まって、バスが訪れる5分前になると時間を告げるのは、彼の細かい性格のせいかもしれない。 彼のバスを待つ5分と、彼がいなくなってから待つ5分の感覚は違う。 彼のバスを待つ5分は、まだ訪れてほしくない、ずっとこうしていたいという甘さに溢れている。 彼がいなくなってから待つ5分は、手に残るぬくもりを愛おしく感じながら、自分の中にあるふんわりした感覚を噛みしめて、また明日、ここで会えることを嬉しく思うんだ。
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