星の河を見に来るから

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私、姫川奈織(ひめかわ なおり)の誕生日は、7月7日、そう、七夕だ。姫川、なんて名字の上に、両親が、7月7日の「な」に織姫の「おり」とか言って、奈織なんてつけるものだから、友達には、奈織姫(なおりひめ)、なんてからかわれてる。自分の名前はそんなに嫌いじゃないけど、ちょっとこっぱずかしい。 今、思ったでしょ?彦星はいるの、って。3年前まではいたんだ。吉川尚弥(よしかわ なおや)っていう、相思相愛の彼氏が。でも、お父さんの転勤で行っちゃった、ミラノに。約束してたんだ、それでも。毎年、7月7日の夜に、星ヶ丘で会おうね、って。私は、信じてたし、去年も、一昨年も、行ったんだよ。でも、ナオは来なかった。手紙だって、私からの一方通行。戻ってこないってことは届いてるんだろうけど。そして、明後日が、その7月7日――私は、行くんだろうか、星ヶ丘へ、ミルキーウェイを見に。来るか来ないか分からない・・・って言うか、希望薄の彦星様に会いに。 家に着いて、郵便物を開けると、信じられないものを見つけた。ナオからの絵ハガキ。ミラノのドゥオモの写真の裏には、「待ってて  ナオ」とだけ、書いてあった。わたしは、そのたった6文字からずっと目をはなせずにいた・・・。
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