第二話 窮鼠猫を噛む

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 と頭の隅で考えながらもすっかりその気になった私は、起き上がって慎也さんの浴衣の腰紐をえいやっと引っ張って衣を剥ぎとり、馬乗りになった。  ひっかかったままだった自分の浴衣もぱっと脱ぎ捨てる。慎也さんもそうだけど風呂上りに下着はつけてなかったからこれで生まれたままの姿だ。 「十和子さん、まだ……」 「大丈夫、ほら」  腰を浮かせて私はそっと開いて見せる。くちゅっとやらしい音。ほらね、さっきのセリフで濡れちゃったもん。でもやっぱ早いかな、ゆっくりやればいいかな。  私は後ろ手で慎也さんの状態を確認する。指の腹でカリのくぼみをなぞって先っぽを撫でる。イイ感じ。さっきまでのぐだぐだを振り払って私は楽しむことだけを考え始める。  シモンが吸血行為で魔力を得るように私は男性との性交渉で霊力を回復する。どうやらシモンはまるっと外部から魔力を取り込むようだが、私は私自身の体内で霊力を生産する。  だから私がもらう男性の精はいわば原材料で行為自体に意味はない。挿入して射精してもらうだけでいいのだけど、それじゃあつまらない。どうせなら楽しくないと。だから私の相方は慎也さんじゃないとダメ。今は。 「慎也さん、支えて」  差し出された両手に指を絡めて手を合わせ、私はバランスを取る。もうしっかり上を向いたモノをあてがって入り口に擦りつける。もうちょっと、滑らないと。少し後ろに腰をずらして割れ目を擦りつける。クリがあたって気持ちいい。 「十和子さん……」 「ン……大丈夫」  弾みをつけて腰を下ろす。先端がちゅぷっと埋まる。私は慎也さんの手から離した右手を後ろ手につき、あたり所を意識しながら後ろのめりになって腰をスライドさせる。  あ、ヤバい。気持ちいい。内側の、好きなところにぐりぐりくる。でもこれって気持ちいいのは多分私だけ。  ぬちゃぬちゅと接続部からの音が激しくなったところで私は休憩するように姿勢を元に戻した。ぐーっと慎也さんと握り合わせた両手を体操するように外に回して前屈みになる。見つめ合ったままくちびるを寄せる。 「慎也さん、気持ち良くして」  お願いすると肩を引き寄せられた。体の上下を入れ替えて布団に押しつけられる。挿入が深くなる。ストロークが長くなった分、抜かれるときの気持ちよさがゾクゾクきてからだが震えちゃう。  打ち込まれるたびに水音が大きくなる。耳を塞ぎたいのにそれでまたコーフンしちゃう。ほんとしょーもない。
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