おじいちゃんに100点を。

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次の日は快晴だった。 ミンミン蝉の声だけが、太陽がじりじりと照り付け始めた道端を一人歩く僕に力強くエールを送ってくれている。いつものようにお父さんとお母さんは仕事、弟は友達の家に遊びに行ってしまった。僕は青いナップザックに水筒とお昼にとお母さんが作ってくれたおにぎりを二つ、詰めてきた。 住宅街から国道に出た僕はいつかテレビのバラエティー番組で見たことを実践した。お父さんの好きな芸能人がやっていた”ヒッチハイク”という奴だ。背中にじんわりと汗がにじんで来るのを感じながら、僕は家にあった段ボールの切れ端で作ったプラカードを走って来る車に向かって掲げた。 ”青森につれて行ってください” この国道の先には東北への高速道路へ通じるインターチェンジがあることを僕は知っていた。この前の年末年始に一度、帰省していたのだから記憶は確かだ。ここでプラカードを掲げていれば、あのテレビ番組のようにきっと親切な誰かが僕に気が付いて拾ってくれる。そう思って僕は炎天下の中、立ち続けた。
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