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プロローグ
「いらっしゃいませ」
神秘的で端正な顔立ちをした青年が、にっこりと形のいい唇を上げる。
その風貌は、まるでテレビから出て来た俳優のように、整っていて美しい。
華奢な体に茶色のエプロンを身に着け、その立ち姿だけで様になる。
店内は女性客ばかりで、彼女たちの目当てはきっと彼に違いない。目で追ってはひそひそと囁き合い、目が合えば顔を赤らめる。
きっと彼も、気づいているだろう。
けれど、この青年には、誰にも言えないある秘密があった。
これから語られる物語の中で、それは徐々に明らかになって行くだろう。
彼を含めた恋愛不適合者たちの、喜びと悲劇の一年の切り取りを、じっくりと見て頂こう。
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