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2 サッカー部の榎翔之介と親しくなり、楽しい日々を送っていた
日本の高校は友達もなく不安だったが、すぐに杏、芹菜、櫻子、花純達と仲良くなった。集団合宿という日本独特の行事には馴染めなかったが、4人と出会えたのは幸いだった。それ以来、お互いに助け合いながら生活していた。
日本の高校には部活動があり、私はサッカー部のマネージャーを選んだ。運動は苦手で、文化部は敷居が高く、他人の面倒を見るのが好きな私に最適な活動だと思った。サッカー部には女子のマネージャーが3人いて、1年生は私一人だけだった。先輩は親切で、男子部員にも馴染む事ができた。
同じ学年の榎翔之介と親しくなったのは、2年生になったばかりの時だった。
「南が、俺は好きになった!」と彼が告白してきた。
「どこが好きなの?私も榎の声とか、試合の時の勝気な性格が好きかも!」
「俺は、顔もスタイルも好きだけど、皆のために一生懸命になっている姿が好きだ!」
私は彼を翔君と呼び、彼はエリと呼ぶようになり、プライベートな交際を始めた。部活が終わってから、学校でいつまでも話していた事もあった。休みにはカラオケやショッピングなど、二人だけのデートを楽しむ事もあった。初めて手をつないで歩いたのも、初めてキスしたのも同じ日だった。夏休みの部活休みに動物園に行った時、私から彼の手を取った。暑い日で汗ばんでいたが、彼の汗はそればかりではなく、緊張のためだと分かった。帰り道を私達は、口数少なく歩いていた。
「ねえ、翔君。キスしてもいいよ!」と歩きながら、私から声を掛けた。
「えー?キスしても良いの?」と彼の声は上ずっていた。人通りのない木蔭で、私は目をつぶって彼を待った。中々してこない彼にじれていたが、ここは自分からするより待った方が良いと判断した。彼の震えた唇がようやく私の唇をとらえたが、それは一瞬だった。その後で私が求めていくと、歯と歯が当たって気まずかった。その時、私はカナダのジョージとの甘いキスを思い出していた。
冬になって寒い日が続いたが、サッカー部はこの時期が忙しい。その合間を縫って、冬休みに翔君の家に遊びに行った。家族は誰もいなかったので、私は何故かどきどきしていた。彼の部屋でゲームや話をして遊んでいたが、いつしか怪しい雰囲気になっていた。彼とのキスは、最近では当然の事になっていたが、その日はそれ以上を求めてきた。キスをしながら、彼の手が私の胸を遠慮しながら触ってきた。彼の初めてらしい鼓動が聞こえてきて、私はやりたい様にさせていた。しかし、その後で下半身に持って行こうとする彼の手を制止していた。
「翔君、ここまでにして!私、これ以上は無理だから!」
「どうして?俺、エリとしたいよ!」
私は彼とそうなる事には抵抗があった。いずれはそういう関係になる事は覚悟していたが、部活で気まずい思いをするのも嫌で、今この時は無理だと思った。すると、自分の行為が受け入れられないと思った彼は、私を傷付けるような事を言った。
「何だよ、純情ぶるなよ!カナダで経験済みだって、皆が噂してるぜ!」
「えー、ひどいよ!そんな事を言うなんて!私はやるだけの女なの?」
私は泣き顔になって訴え、彼の制止を振り切って部屋を出て帰った。それから彼からの連絡を無視して、冬休み中は会わないようにしていた。
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