2 生徒会に入った杏は、生徒会長の柴嵜陽介に告白する

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2 生徒会に入った杏は、生徒会長の柴嵜陽介に告白する

 高校に入っても、同年代の男子には興味を持てなかった。美術部に入ったが、そこは女子ばかりで出会う機会もなかった。恋愛はどういうきっかけで始まって、どうすれば恋人と呼ぶ関係になるのか疑問だった。同級の芹菜は経験豊富だというし、真莉愛はカナダで彼氏がいたみたいだ。櫻子は男子の生態に興味があるらしいが、根本は私と似ている。花純は純情な少女という感じで、恋愛できるのか、他人事ながら心配になる。いずれにしても、人それぞれの生き方、考え方があって面白いと客観視していた。  2年生になって、生徒会の役員になった。中学の時の経験から推薦されたのだが、自分としても生徒会長になるという野望があったからだ。その時に花純と櫻子も生徒会に誘った。そして、そこで出会ったのが現会長の柴嵜(しばさき)陽介(ようすけ)だった。一つ上の彼は、最上級生の風格と資質を兼ね備え、行動力にも長けていた。容姿に際立った所はないが、きりっとした眉が男らしかった。私は生徒会室に行くのが楽しみになっていた。  これが恋だと意識したのは、生徒会の最大行事である文化祭が終わった時だった。生徒会の打ち上げでカラオケボックスに行ったのだが、その時デュエットを申し込まれた。歌には自信があった私だが、顔が紅潮しているのが自分でも分かるくらい、胸のときめきは抑えられなかった。  それから数日後に、私はその時の思いを櫻子に相談した。 「それは杏が、柴嵜さんを好きになった証拠だよ!男からの告白を待っていたら駄目だよ。自分から行きなよ、何なら私も手伝うよ!」  櫻子に後押しされて、彼に告白し付き合う事になった。付き合うといっても、放課後に話をして一緒に帰るくらいで、何となく物足りなかった。私も人並みに思春期の恋する少女として、彼と手をつないだりキスしたりする姿を思い描いていた。今までの私にはなかった感情が、自分の中に湧いてきていた。
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