Vote1佐藤梓

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小泉は姿勢を正して、チェイサーの水をガブリと飲み 「佐藤、お前、広報の谷田って奴知ってる?以前、取材に来た」 少し真面目な顔して聞いてきた。 「うん、立ち上げ時とアンタが着任した時来た人だよね?」 「そう、どんな奴?」 いきなり何だ? 「いや~個人的な事は知らんよ。 あっ!でも」 最初の取材の最後に、 「良い記事書きますので、利用者増えると良いですね。お互い、頑張りましょう!」 と言ってウィンクされた時は、吃驚した。 「昭和の香りがする人だったな~」 と言うと、小泉は不服そうに 「んな事じゃなくて!女から見てどうだったって事!」 「え~普通の人だよ。ちょっとキャラ立ってるけど」 ガクッと項垂れ 「…サトーに聞いた俺が馬鹿だった」 チェイサーを何杯か飲んで、酔いを払ってる彼を横目に会計を頼むと 「どうすんの?帰んの?」 小泉は、背伸びしながら 「ネットカフェでも行こうかな…」 「お金ないの?無いなら、うちのセカンドハウス貸そうか?」 「ヤだよ、お泊まり保育だけで十分。それに遠いから通勤大変じゃん。金なら有るから大丈夫…ただフンギリがつかないだけ」 「ま、もう子供オトして外堀固めてるなら、本丸に攻め込むのは楽でしょ?頑張って!」 「相変わらず、人の恋愛に関心がないヤツだな~」 別れ際、淋しそうな表情が胸に響いたが、あんな男に乙女心を捧げたら、ロクな事にならないのは百も承知なので、無視して先に立ち去った。
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