Vote2小泉遼太郎

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お土産のケーキを嬉しそうに持っていく望くんと鈴菜さんが玄関から去り、俺が 「お茶にしましょう」 と誘うと 「…アンタの家か」 とスレ違いざま、低い声で囁かれた。 何処でどういう判断で、俺を嫌うのか知らないが、ムカついた。 表面上にこやかに振る舞いながら、鈴菜さんと女の会話を盗み聞く。 「相変わらず、コザッパリしてるわね。子育て中とは思えない。私の部屋の方が汚いわ~」 「お片付け、簡単だよ。ね、ママ」 「望くん、お姉ちゃんち来ない?」 ガシッと望くんを抱き締めてる、 「沙弥は飛び回っているから」 ケーキの準備をしながら、ふふっと笑う鈴菜さん 「うん、もう落ち着こうと思って、移動願い出した。海外勤務」 「えっ!本当?」 ガチャンと派手な音がした。近寄るとケーキ皿にサーバーを落としたみたいだ。 休日の午後訪問する親しい友人。 俺と同居してから、鈴菜さんの生活には無かった。 一度母親が来たが、あれは望くんの入学祝でイレギュラーな事だ。 話っぷりから、前にも訪れてた様だ。 「だから、多分ここに来るのも最後」 「…沙弥担当のお客さん、一杯いるじゃない?会社が認めるかな?」 俺は台所で飲み物の準備をする。 「ま、今オンラインでサポートも出来るし。だけど恋人とのスキンシップ、こればかりはね~」 「沙弥さんは珈琲、紅茶?」 「ハーブティーって言ったらある?」 「……」 「遼太、ゴメン。買って来てくれる?」 鈴菜さんは申し訳なさそうに、手を合わせる 「…O.K.」 俺にニッコリ笑顔を向ける、嫌な女だ。 近くのスーパーから急いで戻ってくると、鈴菜さんは台所で深刻な顔をしてた。 望くんと女は、卓上にオセロを出して遊んでいる。 俺をわざと外し、シリアスなガールズトークをした様子。 「大丈夫?」 鈴菜さんの肩に手を置くと 「えっ、ああ。有り難う」 微かに震えた肩が気になる。 その日から、彼女の中で俺の立ち位置が変わった。
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