Vote3中島沙弥

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小泉遼太郎という男は、食えない奴だった。 私が苦手とするタイプ。 ニコニコ笑ってて腹の底が読めない。 商談相手でも、いる。 笑顔で話を進めてて良い感じと思ったら、詰めの状態の時に上司の決裁が下りないやら減額要請、どんでん返しを食らう。 絶対最初からその設定だったでしょう?!というヤツだ。 笑顔でこちらを観察してるタイプ。 本気で物事を良い風に、討論になっても良い結果にしようとしない。無為な時間を自分と相手に強いる。私の嫌いなタイプ。 だけど、望くんは懐いている。 人見知りする、口を利くのが遅い、内向的で好き嫌いが激しい等、望くんが赤ちゃんの頃から、子育ての悩みを鈴菜から聞いてきた。 彼女は自分からは私に相談しないが、私が聞けば応える。 余り人に頼らない完結した人間だ。 その辺が、私の恋人に似ていて放っておけない。 彼をわざと買い物に行かせ 「谷田と同じ位、歳?」 「遼太の方が、2才位上かな」 「ふーん、随分若く見えるね」 「子供と接してるからじゃない?」 「…モテるよね?営業のママさん達もキャーキャー言ってる」 「まあね、一緒に外歩くとチラ見二度見はしょっちゅう」 「心配じゃないの?」 「…遼太は私と結婚したいみたい」 そんなガールズトークしてたら、望くんが 「そうだよ、遼太先生はママの事好きなんだよ!」 と参入してきた。 「ねえ、望くん何か遊びたい物持ってきて」 私は又一人男子を追っ払った。 「同じ年下なら、谷田で良くない?二人お似合いだと思うけど」 「?!…何でそう思うの」 「谷田、入社時から鈴菜に絡んでたじゃん。アレ完璧、男子が好きな子にちょっかい出すやつでしょ」 「でも、谷田は良く噂になってるよ、他の(女性)と」 「続いて無いでしょ、皆一過性。本当に交際してんのかも怪しいよ。 …それに谷田と彼、申し訳ないけど男としての安心感が段違い」 「それは!遼太を良く知らないから…」 「そうだね、今日が初対面だし…でも直感、アイツはやばい。 鈴菜が今恋愛に目覚めて、周りに鈴菜を好きな相手が他にいるんだから、試してみて」 「浮気しろって事?」 「まだ結婚してないでしょ。可能性は最大限に活用しないと」 そこに望くんが、オセロと将棋とトランプを持ってきた。私は 「O.K.オセロで良い?」
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