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公募行脚
応募し、結果を待ちました。
惨敗です。
選評などもらえないので、どこが悪かったのかもわかりません。
始めは三人称でした。
けれど、心の声が多いので、これは一人称にした方がより心情が描けるし、スッキリするのでは、と切りかえました。
周りの友人に、読んでもらったりしました。
自分なりに推敲して、違う公募に出し直しました。
またもや、落選です。
それから、いくつ公募に出したか、覚えていません。
落ちる度に、夏生たちをまたお蔵入りにしてしまったと泣きました。
あの子たちを自由に走り回らせてあげられない、自分の筆力の無さに泣きました。
娘には、落ちた作品にしがみついてないで、新しいの書けば? と言われました。それもそうだとわかっていましたが、諦めきれなかったのです。
選評がもらえる公募がありました。
その中で「結花の存在が中途半端でもったいない」とありました。
結花ちゃん?
中では、そんなに重要な人物として描いてはいませんでした。
物語の起伏があるといいとあったので、結花ちゃんに絡んだ出来事を追加しました。
他の公募で落選した作品を救済してくれる公募がありました。
それに応募したところ、その編集部から、直接電話がありました。
「この作品を書籍にして販売してみませんか?」
自費出版のお誘いです。
正直、心は動きました。なけなしのお金をかき集めて、お願いしようかと思ったのです。
けれど、お断りしました。
それでもお誘いがあるということは、この作品に、どこかしら魅力はあるということではないか。
そう自分勝手に解釈して、自信をつけたのです。
「なつき」を書き始めてから、6年近くたっていました。
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