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1 今村家
世間様は今日から年末の休暇に入っている。師走の押し迫った時期に頼るのは申し訳ないと思いつつも、真島祐一郎は日々忙しい無二の親友のスマートフォンに電話をかけた。ラインやメールでは頼みにくい事柄だし、すぐに今村家の主人の返事が欲しい。自分の従妹である親友の妻には切り出しづらくもあった。
午後一時半を過ぎている。休日出勤をしていてもいなくても、昼食を摂る前後のこの時間帯は繋がる可能性が昔から高かった。
今村竜次は、ほんのツーコールで電話に出るや否や、
「ああ、忘れてた。俺には、お前がいたんだった。頼れるやつが。窮地に陥った今この時に電話をくれるとは、天の助けだ。神様、仏様、祐一郎様!」
と興奮した様子で言った。すぐに一転し、深刻そうな声で、実はな、と続ける。
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