1 今村家

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「嫁が……すまん、多美がアル中になった。ここのところ忙しすぎて、つい最近まで、そこまで飲んでることに気付けなかった。急遽ベッドが空いたんで、さっき専門治療ができる病院に入院させて来たところだ。予定では六週間。あくまでも、順調にいけばだけどな。その後に、更に六週間は通院させないといけなくなる。祐一郎、これから、俺はどうすればいい? とりあえず、子どもたちにはコンビニのおにぎりやサンドイッチや弁当を食わせてるけど」 「あの真面目な多美が? 酒に呑まれるような女でもないだろう」  しかもダンナのお前は医者だよな、と突っ込みたくもなったが、真島は堪えて親友の次の言葉を待つ。 「俺や多美の母親には、わざわざ埼玉まで出て来て家事をやってくれとは頼みづらいし。二人とも直に後期高齢者で、いい年だし。何より、事情を話しづらいし……」
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