溺れる嘘

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 はあ、と熱い息を塁の耳にかけて、周は腰を前後に動かし始める。ぱちゅん、という水音と肉と肉がぶつかる音が混じり合った厭らしい音が、部屋内に何度も響き渡った。 「っああ、あ、ぅあ、や、ぁあああっ!」  奥を突かれる度に、喉から甘い声が溢れ落ちる。熱い周自身に腸壁が激しく擦られて、怖いぐらいの快感に悲鳴にも似た声を出した。容赦なくしこりを押し潰されれば、塁の欲望の先からまるでポンプのように勢いよく粘液が飛び出す。  自慰とは比べ物にならない快感。  塁は、開ききった口から涎を垂らし、与えられる刺激に体を震わせる。  アルファである自分が、他人の肉棒を後ろに咥え込んで、よがっているなんて。  いや、本当に自分はアルファなのか。  本当は──周の言うとおり、オメガなのではないか。  最早、胎内を暴かれたいと願う塁にその仮説を覆す手札はなかった。   「ああっ、も、や、あぁっ、しゅ、う、っああぁ!」  何度も何度も最奥を固く勃ち上がった男根に犯され、塁は狂ったように顔を左右に振りながら身悶えた。次第に速くなっていく律動に、周の熱が高まってきていることを知る。 「っ塁、出る」 「はっ、あっ、まって、なか、は、っアっ」  周が息と共に吐き出した言葉が塁の脳に到達し、周が避妊具を着けていなかったことを思い出した瞬間、一際強く最奥を抉られた。 「だ、めっ、あぁああぁあああ──っ!!」  塁と周、双方の自身からびゅくびゅくと勢いよく飛び出す精液が塁の腹を外からも中からも汚していく。腹の奥に注ぎ込まれる感覚に、全身がぶるりと震え、きゅう、と後ろの入口を締め付けた。胎内で震える周のものが、種付けを行うように最奥へと先端を擦り付け、未だに出続ける精液を腸壁へと塗り込んでいく。  このままでは孕んでしまう。周の、子どもを。  そう認識した瞬間、塁の心臓がどくん、と跳ねた。アルファだと信じていた自分が突然犯されて孕まされている絶望と、いつも完璧で冷静な親友が自分を孕ませるために獣のように腰を振っている事実に対する──歪んだ興奮。 「あっ、あぁ、しゅう、やだ、はら、孕む、からぁっ」 「……孕めばいいだろ、俺が番になってやる」  周はそう言うと、縫い付けていた塁の両手を解放し、びくびくと体を震わせる塁を、自身を中に挿れたままひっくり返して、背後からまた腰を打ち付け始めた。既に硬度を取り戻している周自身が、白濁のお陰で更に滑りやすくなった胎内を滅茶苦茶に犯す。 「ぅああっ、ああ、アァっ、やだ、やだ、あるふぁ、なのにっ」 「こんなに濡らしてよがって、っアルファなわけないだろ」 「やだ、っああぁ、や、むり、ま、たっ、あぁあああっ!」 「ッく……!」  額を枕へ押し付けながら頭を振る塁に、周は追い打ちをかけるように二度目の射精を塁の胎内へ行った。凄まじい量の精液が、塁の腹へと溜まっていく。遅れて弓なりに背中を反らせた塁が、ベッドへと吐精した。
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