溺れる嘘

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 ひっきりなしに痙攣する塁の(うなじ)へ周の歯が添えられる。塁がその感触に気付いたときには、既に周はその歯で皮膚と肉を切り裂いて、塁の項にくっきりと刻印を残していた。 「──あぁあッ……」 「塁……俺の、番……」 「っう、ん……っ」  歯形に舌を這わされ、塁は傷痕に走る痛みに呻く。  周と番ってしまった。親友の、周と。ヒートに当てられ、理性を失った相手と、衝動的に番ってしまった。  少し考えれば、取り返しのつかないことをしてしまったことに気付いたはずだ。しかし、今の塁にそんなまともな思考力は残っていなかった。  征服される悦びに震え、腸内は更なる快楽を求めて蠕動し、三回目の種付けを行わせようと周の欲望を包み込んで刺激を与えている。 「しゅう、しゅう、っうぁ、んあぁっ」 「塁っ、るい……ッ!」  動き始めた周との結合部分から洩れ出した周の白濁が、塁の白い太股を更に白く染めていく。縁の辺りには動く度に気泡が生まれ、卑猥な水音が塁の耳を、脳を犯した。  もう、何も考えられない。ただ、周が与えてくれている快楽を、享受するだけの行為。  何故抵抗などしていたのだろうか。素直に溺れていれば良かったのだ。だって、こんなにもキモチイイのだから。 「あぁあ、っはぅ、うっ、んん、あぁぁっ、ぁあああっ」 「っはあ……っ、……」  自分のものとは思えない高くて甘い、感じきった声。それと対を為す、低く唸るように声を出す周。  今まで一度も触られなかった塁の欲望に、周の指がかかった。ばらばらに動く指が竿や亀頭を弄び始め、塁はいっそう高い嬌声を上げて体を捩った。 「そこ、ああぁっ、きもち、い、っうぁ、あああぁあっ!」  塁が三度目の射精をした瞬間、胎内にある周の肉棒がどくんと脈打ち、もはや精液溜まりと化した結腸部分に精を吐き出した。腹越しに聞こえるびゅるる、という音を聞きながら、塁の意識はふと途切れた。
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