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ダミオは不治の病の末期だった。
彼はベッドに横になったまま私を迎え、苦しげに乾いた咳をした。
五十歳を過ぎ、顔には壮年の貫禄が刻まれている。結婚し村長を継いだらしく、屋敷には彼の妻と子どもたちがいた。
「村に、同じ症状の者がたくさんいる……孫も、熱を出して寝込んでいるんだ……」
ダミオは落ち窪んだ目から滂沱の涙を流し、私を見つめた。
「俺が悪かった……」
「ダミオ?」
「許してくれ……」
病で意識が混濁していたのだろうか。ダミオは半身を起こし、私に縋って泣きながら許しを請うた。
「許してくれ……リベカ……」
「リベカ?」
妹の名前に、私は瞠目した。
「あのときの仲間は、みんな死んだ……俺が最後だ。全員、呪われた……」
「どういう……ことだ?」
ダミオは声を震わせ、私に懺悔した。
自分の罪と、ミノタウロスの真実を。
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