3.

4/4
前へ
/19ページ
次へ
 ダミオは不治の病の末期だった。  彼はベッドに横になったまま私を迎え、苦しげに乾いた咳をした。  五十歳を過ぎ、顔には壮年の貫禄が刻まれている。結婚し村長を継いだらしく、屋敷には彼の妻と子どもたちがいた。 「村に、同じ症状の者がたくさんいる……孫も、熱を出して寝込んでいるんだ……」  ダミオは落ち窪んだ目から滂沱(ぼうだ)の涙を流し、私を見つめた。 「俺が悪かった……」 「ダミオ?」 「許してくれ……」  病で意識が混濁していたのだろうか。ダミオは半身を起こし、私に縋って泣きながら許しを請うた。 「許してくれ……リベカ……」 「リベカ?」  妹の名前に、私は瞠目した。 「あのときの仲間は、みんな死んだ……俺が最後だ。全員、呪われた……」 「どういう……ことだ?」  ダミオは声を震わせ、私に懺悔した。  自分の罪と、ミノタウロスの真実を。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加