16人が本棚に入れています
本棚に追加
Epilogue
分かったかい?
この世界に、ミノタウロスなんて怪物は存在しない。それを作り上げたのも、利用しているのも、人間なんだ。
あんたの娘さんに、どんな事情があるのかは知らない。
でも、娘さんが生みたいと言うなら、きっとそれは愛した男の子どもなんだよ。ミノタウロスの仔なんかじゃあない、愛した男の子を、たった一人で守ろうとしているんだ。
なぁ、女ってのはそういう生き物だろう?
絶対に殺させちゃあいけない。
とにかく、娘さんとよく話をすることだ。
もし村に居づらいなら、ここへ来たらいい。
この村にはもう、ミノタウロスはいないからね。
さぁ、今日はもう遅い。
隣の部屋で休むといい。
朝になったら滋養のつくものを持たせるから、早く娘さんの所に帰ってやりなさい。
うん?
あぁ、妹の墓も……この小屋の裏手の丘にあるよ。アルと並べて、埋めてやったんだ。子どもも一緒にね。
え? あぁ、ありがとう。
そうだな、明日の朝、案内するよ。
あんたの娘さんが、リベカの分まで幸せになれるよう、心から願っているよ。
それじゃあ、おやすみ……
【了】
最初のコメントを投稿しよう!