第4話

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「来週のドラマの放送も楽しみですね」 「あの摂食障害の子と胃ガンの爺ちゃんか? あぁそうだな。あれだけ血色のいい摂食障害も胃ガン患者も滅多にいないからな」 「うわ。そこはドラマだから、大目に見てあげてくださいって」  健康な人を病人レベルまで痩せさせるのは無理な話だ。  医療ドラマのリアリティの限界って奴だと思う。 「あのじいちゃんの胃ガンには、これから治験やってくってことですかね?」 「『いい薬がありますぜ旦那ぁ』、って騙すんじゃねぇのか?」 「全国の治験担当者さんが、やめてくれぇって涙する内容にならないといいんですけど」 「ま、どっちにしろ、うちの病院の現状とはかけ離れた内容になること間違いないな」 「ですよね。うちはそんなに重たい症状の人は入院しませんし、治験なんてやらないし。薬剤師は患者の背景までみんな見ることって田中圭君は言ってましたけど、あれもうちの場合は」 「見てねぇよなぁ」  俺たちは顔を見合わせ、ケラケラと笑った。 「その辺はナースさんの仕事ですからねぇ。私たちってば入院時の面談すらやってないから、患者さんの顔も分からないくらいだし」 「仕方ないだろ。うちは病院の構造上、DI室が無いから入院患者さんへの指導加算が算定できないんだ。お金が一円も取れないのに、ボランティアでさとみちゃんみたいな指導なんて無理だって」  もちろん、説明をしてくれって要望があればするけど、今はコロナもあって、家族の見舞いも制限して、ベッドサイドへ行く人間をできる限り減らしているくらいだから、余計に行ってない。その辺の事情は薬剤師に限ったものではなく、栄養士さんも指導が難しいって話だ。  というわけで本日の結論。 ・薬剤師は医者の奴隷(言いなりって意味でね) ・薬剤師は薬の事、分かってない。 ・薬剤師はお金の事ばっかり考えてる。  ……あれ? 薬剤師主役でドラマ化してよかったのかな、ホントに?
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