第10話&最終回

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「ですけど、私としてはせっかく薬剤師のドラマをやるなら、もっとリアルな話をやって欲しかったですけどね。たとえば一番身近な調剤補助のみなさんについてとか」  ドラマでも薬剤師の制服を着ていない人たちが調剤室の中で動き回っていたのを、視聴者のみなさんは気付いてくれていただろうか? 「うちの薬剤部は規模が小さいからお互いが休みをとれるように薬剤師2人だけでやってますけど、あの病院は補助員の方たちも大勢働いてる感じでしたから、そのあたりでエピソードを作ってもいいのに」 「そうだな。彼らに調剤をしてもらって、薬剤師が監査するべきなのに、ドラマじゃ薬剤師がガンガン調剤しちゃってて……あの仕事のやり方じゃ人手不足は当然って感じだったな」  調剤補助員は薬剤師免許を持っていないから、基本的には薬を棚から拾う調剤(ピッキング)しかできないのだ。  もちろん薬剤師がピッキングをやってもいいのだが、人件費の都合もあり、薬剤師の人数はどこの病院、薬局でも限られている。だからこそ調剤補助員にできることは全てそちらへお任せする、というのが基本方針のはずなんだが……。 「あれだけ制服の違う人がうろうろしてるのに、結局最後まで彼らの存在には触れなかったのは悲しいことだな」  でもそれは薬剤師ドラマに限らない。  看護師を主役にしても看護助手やヘルパーさんの存在は出てこないし、医師が主役でもすぐそばにいる医療事務さんたちはセリフも無い。  でも病院に勤めていると医療系の有資格者だけが働いているわけではないとよくわかる。  せっかく地下部署の薬剤部にスポットライトが当たったのだから、これをきっかけとして今後ドラマを作るときにはそのほかの職種な人たちにも注目してくれたらいいな、と思う。
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