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時計屋
「色んな腕時計がありますね」
「刻むのはただの時ではありません」
車で移動販売という風変わりの店主は白い時計を示した。
「例えばこれは自分の寿命を示すものです」
「これが寿命ですか?」
男か女かわからぬ店主はうなづいた。
「どんな人が買うんですか」
「この前の持ち主は大きな会社を経営されていた方ですが、末期の病気でした」
死ぬ前に自身の整理をしたいと言う男は白い時計を買ったが、遺族が気味悪がって返してきたといい、店主は時計をケースへ戻した。
「他にもございますよ。愛する人と会えるまでの時計。夢が叶うまでの時計」
「……自分の危険が迫っているのがわかる時計がありますか」
「ありますが、これは売り物ではありません」
店主の腕時計がそうだと言った。
「お願いです!私は実は罪を犯し、逃げているのです」
「……」
「その時計を一瞬貸してください。それで自分の道を決めます」
「では。あなたが今持っている財産を全てくださいますか?」
「全部?」
背に腹は代えられぬ、と男は金を差し出した。そして腕時計を着けた。
「なんだ?あと5分だぞ」
「そのようですね」
「壊れているのではないか?」
「さあ」
すると背後から男達が走ってきた。男は逃げたが間に合わずに捕まってしまった。男は警察が連行していった。
「この時計は素晴らしい。実に正確だ」
「ありがとうございます」
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