君待ちアステリズム

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翔は、少しおっとりしていて、鈍臭くて。 一緒に天体観測へ行く時も、必ず何か忘れてきたり、どっかで転んだり。 一緒にいてやらないと、ちょっと心配な奴。 だけど、天体望遠鏡の扱い方は抜群に上手くて、自動導入を使わなくても一発で天体に合わせられるし、どの季節にどの天体が見ごろかも全て頭に入ってるような、そんな星空オタクで……最高の仲間だった。 なのに。 「あー、だる。食い過ぎだな、これ」 ベッドに寝転びながら、もうすぐ始まる銀河ステーションのチャンネルを聴き流していた。 明日の夜にはペルセウス座流星群が極大となる。今年は新月ではないため、少し見るのは苦労するかもしれない。 それに、これだけ街の明かりが多いと、正直普通の星座ですら確認するのも苦労する。 確か初めて三人で観測した時も、苦労したよな。 ──アステリズムを目印にするといいよ そう教えてくれたのも、翔だった。 星座や流星群の放射点。 方角は分かっていても、どれが何の星かは一等星以外は区別がつきにくい。 そんな時、目印になるのがアステリズム。 いわゆる星群というやつだ。 北斗七星や夏の大三角なんかがそう。 星座ではないけれど、天文集合体として認知度が高い上、非常に見つけやすい。 まだ初心者で星の知識なんてほとんど身に付いていなかった頃、翔が教えてくれた方法だった。
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