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「野上君には出来れば情報収集をやってもらいたいの。場合によっては、ミキと協力して資料集めにも協力してもらいたいんだけど・・・・・・」
「情報収集と資料集め? 分かった」
「危険な仕事は受けないようにするけど、もし何か言いたいこととか、聞きたいことがあればその都度、遠慮なく言ってね」
「分かった。妙子は、俺に聞きたいこととかないのか? 例えば、この間の事とか」
この間の事って──もしかして、細長い紙をドアに投げつけてた時のことを言ってる? もしかしなくても、そうだよね?
それは聞きたいけど、聞いてもいいのかな・・・・・・。というより、知らぬが仏というか何と言うべきか。
「気になってたんだけど、聞いてもいいの?」
「あたり前だ。だって俺たち仲間になったんじゃなかったのか?」
(ええ、仲間になりましたとも。ついさっき。でも他人に、そんな簡単に喋っちゃって、いいのものなの?)
そんな私の心の呟きはさておき、彼は堂々とした態度でこう言った。
「俺は、平安時代に最強の陰陽師と謳われた安倍晴明の生まれ変わりだ」
「は?」
いや、そこまで聞いてませんから・・・・・・。というより、安倍晴明の生まれ変わりって何?!
「お前は、妖孤だよな。俺のこと、覚えて無いのかもしれないけど」
「ヨーコ?」
「いや、いいんだ。人間に転生できたんだもん。俺だって嬉しいよ」
ん? ちょっと待って。聞き捨てならないセリフが。人間に転生? 誰が?
「安倍晴明の生まれ変わりって・・・・・・。昔、生きてた時の記憶があるってこと? 安倍晴明って、人間だと思ってたんだけど、違うの?」
「ん? なに言ってるんだ。安倍晴明は人間だ。記憶もちゃんと持ってる。耄碌してた、じーちゃんの時の記憶だから、記憶自体が少し曖昧だけどな。歴史書を読むと、安倍晴明は半妖だったのではないか。という記載が結構あるけれど、俺は人間から生まれた。幼い頃、妖怪との知恵比べに負けて、何かに取り憑かれていた時期があったからかな。虫とか食べてた時期があったみたいなんだ。だから、一部の人間にそう思われてたみたいなんだけど・・・・・・。俺は前世も現在も、れっきとした人間だ」
「じゃあ、お聞きしますけど、さっき人間に転生したって言ってたのは・・・・・・」
「決まってるじゃないか。お前の事だよ、妖孤」
「!!」
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