伝説のラストナンバー

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「終わっちゃうね」 「……だな」  スタジオの中、彩夏と二人で苦笑いを浮かべる。  僕らが比企谷FMに入って三年。長かったようで短い数年間だった。  子供の頃から慣れ親しんできた放送局に入るという夢が叶って、はしゃいだのは最初の一年だけ。  スタッフがごっそり減った二年目からは、彩夏はパーソナリティを任され、僕は雑用係とディレクターを兼任し、慌ただしい日々を過ごした。  でも、それも今日で終わる。  会社は解散し、残り僅かだったスタッフはバラバラになる。僕と彩夏も来月からは別々の職場だ。  思えば腐れ縁の二人だった。  小学校からの同級生で、部活も同じ放送部。中学も高校も大学も、就職先までも一緒になった。  沢山ケンカもしたけれど、決定的に仲違いすることはなくて……彩夏は僕にとって最高のパートナーだった。  ――でも、僕はまだ、彼女に一番大切な言葉を伝えていない。だから、今こそ彼女にその言葉を伝えようと思った。
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