プロローグ

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プロローグ

夢を、見る。 その夢は、とても甘美なもの。 愛おしい天使が、瞳を潤ませて、僕を見ている。何かに戸惑う天使は、僕を拒む。 だけど、僕は焦らない。 だって、天使の瞳には、僕に対する嫌悪も、拒絶も、感じない。 あぁ、泣かないで。 天使の涙は言葉にするのもおこがましい程に、美しい。だけど、やっぱり、笑っていてほしい。天使には、愛くるしいほどの、笑顔が似合っている。 僕は、その涙を、そっと拭う。 天使は、僕を、真っ直ぐに見る。戸惑いを、打ち消すほどに、強く、射ぬくように。 ほら、やっぱり。 天使は、僕に口付ける。 少し厚ぼったいそれは、でも、すぐに離れる。名残惜しいけど、仕方ない。 だって、天使は、僕に伝えたいことがあるはずだから。 天使の瞳が、僕を真っ直ぐに見つめる。 やっぱり潤んでいる瞳。 ああ、ほら、その、唇が、動いて。 いつも、目が覚める。 そして、僕は忘れてしまう。 君の潤んだ瞳も、愛おしい表情も、何かを言いたげだった、その厚ぼったい唇も。
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