螺子と莫迦

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 目を覚ますと、莫迦からの電話とメールとメッセが山盛り来ていて、読むのが面倒なのでホルダーを作って通知音とポップアップをoffにした。  学部は違えど同じ大学の同学年、共通の知人も多いので、直ぐに連絡できる人達には事の顛末を連絡しておこう。  後日、未練がましくも接触しようとして来た莫迦を、友人知人皆がブロックしてくれた。  莫迦に感謝することが在るとすれば、ヤキモチ焼きでスマホに通話録音アプリを入れさせられていた事。  莫迦に都合のよい説明を受け、私に絡んで来た阿呆に通話音声を聞かせたら、素直に自分の非を認めて謝ってくれた。  莫迦と別れて2ヶ月後、小耳に挟まった風の噂では、莫迦は『後5分あれば誤解も解けたし別れずに済んだのに、アイツは短気で残念な奴だった』と、言っているらしい。  勿論共通の友人知人からは失笑を買い、私を知らない人達に広めては、事情を知る人達が訂正して回っている。  近々、迷惑を掛けた人達に細やかな御礼の飲み会を開く事にしたのだけれど、むしろ気遣われて励ます会になりそう。  あれ以来頭の中の螺子達は、本来あるべき場所に収まり、大人しく自分の役割に没頭してくれている。  現在、私は時間と螺子をこよなく愛する女性として認知されている。
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