清廉潔白な乙女

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 足元が暗くてよく見えない。道なき道を、スマホの灯りを頼りに進んでいく。先にあるかも分からない、真っ白な鳥居を目指して。  こんなことをする柄じゃない。  俺はもっと、賢い人間だ。  だから、中学の時にいたグループの誰よりも偏差値の高い進学校に受かり、そこでも良い成績を取って、推薦がほぼ決まろうとしている。  更生しようと思ったんだ。下らないことばかりしてないで。  ライトで目の先を照らしながら、清廉潔白、と検索してみた。  心が清くて私欲がなく、後ろ暗いことのまったくないさま。 心が清く、私利私欲をもたないこと。そんなことが出てくる。ふっ、と自嘲する。全く、俺に似合わない言葉だ。それでも、乙女とやらは救ってくれるのだろうか?
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