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『よかった。安心しました』
すぐに乙女の声が返ってくる。
『実は、あなたのように、いじめていた過去を消したいという方は、結構いらっしゃって。みんな、反省せずに、いるから、腹が立って、仕方なかったのです』
随分とノロい喋り方をする奴だ、と思った。
口角を上げて俺は返事をする。
「それは酷いですね」
どうやら俺は、間違えなかったようだ。
『それにしても、消したい、とは傲慢ですね』
心臓が跳ねる。
その言葉の意味を、俺は必死に考える。
ゆっくりと口を開いた。
「確かに、乙女さんの言う通りだと思います。俺は、犯した罪を一生背負っていくべきですよね。ごめんなさい」
すらすらと言葉が出てくる。相手の求める答えが分かる。こういうところがアイツ等と違うんだ。
『それが分かればいいのです』
グサリと、背中に何かが刺さる。
「は……?」
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