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胸の辺りに刃物の切っ先が見え、遅れて痛みがやってきたところで引き抜かれ、絶叫した。誰も居ない山奥に俺の情けない声が響き渡る。
『清廉潔白になるには、生まれたところからやり直すしかないと思うんです』
いつの間にか、白い鳥居は消えていた。
「な、に――ってんだ……」
『今夜までに、すべてを終わらせたかった』
血を流し、激痛に耐えながら地面についた顔を上げて見ると、そこには乙女が――いや、何の変哲もない、セーラー服を着た女子がいた。
足が浮いている。
あぁ、どうして。
気付かなかったのだろう?
『あなたに嘘の都市伝説を吹き込み、ここに誘導したのは、私です』
こもっていて弱々しい、低めの声。ノロい喋り方。
中学の時にいじめていたアイツ――名前、なんだっけ。
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