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* * *
「あなたの能力はどんなのなの?」
ある程度の用事を済ませた私は、そうフィリフェを急かす。
「まぁまぁ、ちょっと落ち着きなさいよ~。そんなに私の能力が気になったのね?☆」
生意気な妖精ね。
正直ムッとしたものの、ここで言ったら話が進まないなぁと思い、フィリフェの次の行動を待った。
「そうねぇ~。あ、そーだ、時乃、勉強して」
唐突にお母さんみたいなこと言ってきた。
え、でも、どういうことだろう?勉強しないとお披露目出来ない能力?う~ん...?
私が考え事をしてぼけっとしていると、フィリフェがこちらに目を合わせてきた。
「十分だけでいいから!!」
うわびっくりした。
突然目が合いギクッとする。
うー、十分ならいいか...?
今日は雨でジトジトするので、勉強する気にはなれなかったが、フィリフェのキラキラな瞳には勝てなかった。
「十分でいいの?」
そう言いながら机へ向かう。
適当に問題集とノートを取り出すと、筆箱からお気に入りのシャーペンを出した。
「ありがとう~!じゃ、説明するわね。今から十分を五分と五分に分けて、休憩を挟んで十分勉強してもらうわ。」
ふむふむ。つまり、ぶっ通しでやるわけじゃない、と。
それならいつもの勉強量よりはるかに少ないから楽勝っぽそう。
「ただ、普通に勉強してもらうんじゃなくて、それぞれの五分に私が能力を発動するわ。そうしたら終了!どう、分かった?」
フィリフェがふーっと息を吐く。
うぅん...何となく分かんないけど分かった!
「まぁだいたいは分かったかな。それよりも、実際にやってもらった方が分かりやすいかもしれないな」
私がそう返信すると、すぐにフィリフェが口を開いた。
「じゃー早速始めよう!最初の五分ね。私のよーいスタートの合図で始めてね!いっくよー」
フィリフェはよく見ないと分からないくらいの小さな小さなストップウォッチを片手に持ってご機嫌に飛んでいる。
妖精が着る服ってポケットあるんだ。
そんなことを思いながら問題集のページを確認する。
「よーい、」
シャーペンを軽く握りなおして
「スタート!」
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