7人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
3日目「後片付け」
最終日にドローンが運んできたお題は「後片付け」だった。「綺麗に拠点を片付けて、できるだけ早くスタート地点に戻る」と書いてある。
「俺たちは遠いから無理かな」
ボソッと口から出た言葉に、
「ごめん」
と博士が謝る。
「そんなつもりじゃなかったんだ。勝負はどうでもよくなったと言うか……後片付けを頑張ろう」
慌てて言った俺に、
「楽しかったよね、キャンプ」
とラッキーが的外れなことを言って、三人で笑った。
拠点は昨夜の地点でほぼ解体して燃やしていたから、片付けはすぐすんだ。灰になったのを確認して水をかけ、穴を掘って灰を埋めた。残りの山菜弁当を肩に掛けて歩き始める。
途中、敵チームの拠点に煙が見えた。人はいない。どうしようか迷ったが、周りに燃え移っても危ないので火を消すことにする。煙が消えたのを確認してまたスタート地点へ進んだ。
まだ薪が燃えている拠点もあった。さすがに消すまで待てないので、穴を掘って落とし、地図にチェックした。後で主催者に伝えよう。
二日ぶりのスタート地点に戻りゴールすると、やっぱり俺たちは最後のチームだった。周りのチームが勝ち誇った顔で見ている。
でも俺は博士とラッキーに囲まれて、何だかとても清々しかった。
最初のコメントを投稿しよう!