オリエンテーション

1/2
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

オリエンテーション

「うわ、欲しくな……」 俺はそう思った。 No.7なんて縁起のよさそうな番号だったから期待したけど、全くハズレだ。 これならまだあいつの方がましだ。 さっきまで「こんなやつと組むなんて……」と思っていたNo.20を見る。色白で長身の彼は運動ができそうにはとても見えない。でも、エントリーシートによると彼は知識が豊富で賢かった。  俺は改めてNo.7を見る。背が低く、やたらニコニコしている。何だか子どもみたいだ。まあ、中学生だからみんな子どもだけど。 しかも、こいつの能力ときたら何の役にも立ちそうにない。 でも、置いていく訳にはいかない。必ずゴールまで3人一緒でなければならない。それがこの大会のルールだった。 「あの、よろしく」 俺は差し出されたNo.7の右手をため息まじりに握り、 「よろしく」 と挨拶を返した。 「大丈夫、あの髭おやじの長ったらしい開会の挨拶は、あと5分で終わるから」 俺がどう思っているかも気にしない様子で、No.7は笑って言った。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!