作戦タイム

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 用紙には1から9までの装備品が書かれていた。 1 ナイフ 2 釣具 3 鍋 4 雨具 5 網 6 ノコギリ 7 火打ち石 8 ランプ 9 ビニール紐 「博士、どう思う?」 「まず、用途が限られるものは外した方がいいと思う。例えば、これ」 博士が指差したのは、鍋だった。 「でも、お米を炊くには鍋がいるんじゃない?」 ラッキーが言う。確かにそうだ。部屋には、全グループに支給される水と塩と米と寝袋、そして地図がすでに揃っている。米と水があっても鍋がなければ米は炊けないのでは? 博士は地図を見ながら何か考えている。 「たぶん、大丈夫だ。米は炊ける。でも、それ以外では鍋はただの荷物だ。リュックにも入らない。水も自給するなら鍋は必要だけど、水は支給されてる」 博士がそう言うなら信じてみよう。 「釣具、雨具、火打ち石、ランプも用途が限られるけど……」 ラッキーの言葉に、博士が頷いて言う。 「うん、そうだね。火打ち石がなくても火は起こせるし、火があればランプもいらない」 「釣具はあった方がいいんじゃないか?」 俺が言うと、ラッキーもそうだよねという感じで見ている。 「釣りは結構難しい。素人が簡単に釣れるもんじゃない。君たちは釣りできるの?」 俺もラッキーも首をふった。 残ったのはナイフ、網、ノコギリ、ビニール紐の4つだった。 「ノコギリはいらないんじゃない? ナイフがあれば……」 ラッキーが言うと、 「いや、木を切ろうと思った時に、ナイフじゃ切れないだろ? 細かい作業にナイフは必要だし、ナイフもノコギリも外せないよ」 博士が言う。 となると、網とビニール紐のどちらかを外すしかない。 植物のツルでロープの代用はできないだろうか。でも何かを結ぶとしたらビニール紐があった方がいいか。そもそも網なんてそう使わない気もするし…… 俺がぶつぶつ言っていると、 「そうだね、リーダー。網を外そう」 博士が言った。 「あと5分で締め切りだよ」 ラッキーの声に腕時計を見る。腕時計はチームのリーダーにだけ渡されていた。危ないところだった。 俺は用紙の、 1 ナイフ 6 ノコギリ 9 ビニール紐 に○をつけて、それを提出した。 いよいよ明日からだ。 それぞれ何か思いながら布団に入った。
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