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ダッダッダッ!
森の中を煉子が走って行く。
「う、うぉぉぉ・・・!!」
明らかにオカシイ女が追いかけてくる。
タピオカミルクティー屋からずっと追いかけてくるのだ。
「しつけーなクソが!!」
煉子は大木の蔭に身を隠す。
白と黒のチェックのプリーツスカートから覗く太ももには黒く光る1丁の拳銃をベルトで固定してある。
「ったく!弾も貴重だし使いたくないのにっっ」
銃に弾をこめる。
木と木の間から女が出てきた。
「うぉぉぉーーー!!!」
女は眼をガッと見開き、白目が充血している。口を開く。剥き出しの歯から真っ赤な血がポタリポタリと落ちる。
大木の真横から、煉子は狂った女の真正面に飛び出した。
銃口は女の眉間を正確に狙う。
パァンッッ!!!
破裂音と共に数羽のカラスがバタバタと飛び立つ。
女の頭半分が弾けて、胴体はそのまま真後ろに倒れた。
「無駄に脚が速い女だな。陸上部か?」
と笑いながら、倒れている女に近づく。
足で女の脇腹を突っつく。
女の目は通常の人間の色に戻っていた。
空を見ている表情は魂の無い死んだ人間そのものだ。
煉子はしゃがんで、女のスカートをまさぐった。
ポケットの中から高校の生徒証が出てきた。
辰巳高校2年3組28番
藤家遥香(2004年5月13日生)
部活 陸上部
「やっぱ陸上部かよ!!」
煉子は笑った。
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