苛立つ母

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苛立つ母

「セイ!あんたこんな時間まで連絡もせずに何してたの!!」  母親の怒号が大きくて思わずスマホを持つ手を耳から少し離した。 周りに人の気配はなく、いつ降ったのかアスファルトは濡れていて街灯の光をゆらりと反射する。 「何度も連絡したでしょ!晩ご飯、どうすんの!!?」  いつも通りの帰り道。  いつも通りなのに、全くいつも通りではない帰り道。 「ごめん、本屋にいて気付かなくて。ご飯、お願いしますっ!!」  スマホを耳に当てながら頼み事をするように左手を顔の前に立て、深々と一礼した。 「あんた何時間本屋にいたの!!?もう、高校生になったからって調子に…」   途端、母の声が急に遠くなる。
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