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月の声
竜巻…?
突然吹いてきた風が、木の小枝や草や葉っぱ、そしてどこから飛んできたのか七夕の短冊なんかを無数に巻き上げて、空中でぱっと手放した。
その様子を無意識に目で追っていた僕は、思わず息を呑む。
視線の先に大きな満月が、驚くほど明るく僕を照らしていた。
「すげ…」
足元に淡い影。
街灯が作り出すそれとは方向も濃さも違っていて月光による影なのだと分かる。 その優しような儚いような影に思わず見入っていると
「綺麗でしょう?」
どこからか声が聞こえた。
月の瞬きのような、風の笑みのような、小さな小さな声。
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