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ロンドン
幾つかのアルバイトをこなしたあと、旅行会社でアルバイトをすることになり、仲良くなった先輩がロンドンなら遊びに行くよ!っていうから、じゃっそこでって、行き先を決めた。
そん時は卒業旅行用のアルバイトで、時給650円なのに月給が25万を超えていた。*計算してみてください。残業手当が25%ついたとしても……。
私はアルバイトさんなので、午前0時になる頃には、「スイマセーン、終電がなくなるんで」と帰宅が許されたが、ベテランさんたちはそのまま仕事をしていた。
そして深夜に帰り着き、朝の5時には起きて、バイト先へ行くのだ。
その当時、バイト代は現金手渡しだったので、結局、土日も休めず、2ヶ月分の50万ほどがずーっとカバンの中にあったのだった。
聞いた話によると、社員さんなどは、熱が出ても仕事ができるうちは誰も帰っていいよとは言わないらしい。
さすがにフラフラになって仕事ができなくなったら、帰れるらしい。
ザ・社畜! ここに極まれり!
もちろん、このピークが終われば、各々お休みとって行くのだけれど。
航空会社から回ってくる超安いキャンペーンチケットなるものを使ってね。
そうして、ロンドンに行く前に、まだワールドトレードセンターがあるNYへ仲良くなった先輩とキャンペーンチケット使って行ったのだが、それもトラブルだらけのユニークな旅だった。そのおかげで帰りはビジネスクラスになりました。いつかこのお話もお披露目できる日があるといいなw
さて、話はロンドンに戻る。
この先輩の一言で、ロンドンへ旅だった私は「間借り」⇨「シェア」⇨「シェア」と家を変えた。
「間借り」したのははっちゃけたシングルマザーと小学校3年生の女の子と幼稚園ぐらいの男の子のお家だった。
ドッグレースの賭け事をした際のお金があちこちに無造作に置いてあって、これはお金盗んでいいよ?って言ってる気がして、人の心を迷わすようなことをしちゃいけないな、と学んだ。
そのママさんにはオープンカーに乗せられて、マーケットに連れてってもらったり、果ては男性ストリップまで連れて行かれた! もちろん全部脱ぎます! すっぽんぽんです。白人より、浅黒い肌の人の方がセクシーだったです。私もその顛末を書いていますが、「フルモンティ」というコメディタッチの映画もあるので、ご興味のある方は探してみてください。
更にママさんが下着姿で廊下にいるかと思うと
ちらっとパンツをずらした! するとそこにはチョウチョのタットゥーが入っていて、なるほど、西洋じゃ、これは家族でも見ないな、彼氏専用かぁと思った記憶がある。
そのママさんはとてもいい人だったんだけど、セントラルシティまで遠かったことと、彼氏ができちゃって、あはん、な声がしちゃうので、ちょっと居づらくなってしまった。
そこで語学学校で知り合った男の子の紹介で「シェア」することになるのだ。
ここでの「シェアハウス」での出来事がまぁすごかった。
ある意味、このお話の本題である。
まず、建物は3階建であり、住んだのは3階部分である。
そうそう、イギリスやヨーロッパでは1階をグラウンドフロアと言い、2階を1階と呼ぶ。
故に私の住んだ階は2階である。日本式では3階だけど。
その何年も後のこと、新宿南口の高島屋でオーストラリア人のスーと待ち合わせをした。
のんびりした私たちは1階でね!と約束をしていた。しかし、あそこは新宿駅南口から出るとそのまま高島屋に入れて、それは2階だったのだ。
はっきりと時代を感じるが、その頃、私は携帯を持ってなかった。
それにもかかわらず、のんびりした私たちは、同じように同じ場所を1階だと勘違いをしていてしっかり会えて、「ここ2階だったねー」と笑いあった。
あとは、イギリス英語は発音から、単語から色々、私たちが10年をかけて学び、映画などで聞き慣れているものとはちょっと違っていたりするが、それはまた別の話。
さて、再び、ロンドンの「シェアハウス」に戻る。
ちょっと日本では考えられないが、階段部分とその周りは共同の廊下であり、全ての階は同じ造りだった。BBCのジェレミーさんのシャーロックホームズなどを見るとちらっと写っていたりする。
つまり、他人の部屋の前の廊下と階段を使って、自分の階へ行くのだ。
故に、使わないけど、階下にあるシャワールームやキッチンを使うことも可能なのだ。
その共同の階段と廊下は掃除のおばさんがよく絞っていないモップで週1ぐらいで掃除してくれていたのだが、ある時、私は滑ってその階段から転げ落ちた。しかも顔から!
もう、ショックの方が強かったのだろう。
パニクった私がまずしたことは、鼻を触ることであった。
鼻の骨が折れていない?
鼻血は?
そう、見事に何ともなかった。やっぱ日本人は鼻が低いんか?!
打ったのはほっぺとおでこであった。
掃除のおばさんは、こういう時はまず落ち着くためにお茶よ!とお茶を入れて飲ませてくれたが、考えれば、おばさんのベチャベチャのモップのせいである気もした。
拙作の『古い家にはつきものなのさ』に書いたように、実はその家には子供の幽霊が住み着いていたらしいので、その子のいたずら?だったのかもしれない。
ただ、掃除のおばさんはお茶を入れ、しばらく付き添っていてくれた。
しかし、女性が顔から階段落ちするというショッキングな出来事の前に、何も言えず、
ただ、出されたお茶を飲んで「さすがイギリス?」と思ったあたり私も結構呑気だと思う。
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