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プロローグ
それはちょっと以上前の話、そう世紀末何かが近付きつつあって、恐怖の大魔王が本当に降ってくるかもしれないと、オカルト雑誌だけでなく、メディアも大きく取り上げ、バブルに日本が世界が浮かれていた頃のこと。
高度成長期の狭間にすっぽりとはまり込んだように、その時代に取り残された私は引き篭もりをしていた。
しかし、運命は非情で、たった3ヶ月の闘病生活で一家の大黒柱である父をあっけなく失った。
あの朝のことが忘れられない。
我が家の一大事が起きているにも関わらず、無情にも太陽は登り、白白と夜は明け、人々が日常生活を刻々と送ろうと動き始める。
そして、私の運命の扉が薄っすらと開きつつあったなど想像もしなかった。
父は私の面倒を一生見るつもりであったらしいが、その目論見はすっかり外れ、私の人生の歯車が回り出した。
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